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『カフェ・ソサイエティ』評価。過ぎ去る時間がなんとも切ない大人の映画!

2017/06/04

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『カフェ・ソサイエティ』のあらすじ

カフェソサイエティ
時は1930年代。父親の仕事を手伝っていたが、それに飽き飽きしてもっと刺激的で胸のときめく人生を送りたい、という思いでニューヨークの平凡な青年ボビーがハリウッドを訪れる。

この華やかなりし映画の都には、全米から明日の成功をめざす人々が集まり、熱気に満ちていた。映画業界の大物エージェントとして財を築いた叔父フィルのもとで雑用係として働き始めたボビーは、彼の秘書ヴェロニカ、愛称"ヴォニー"の美しさに心を奪われる。

ハリウッドを案内してもらうためとしてヴォニーと親密になったボビーは、彼女との結婚を思い描くがうかつにも彼はまったく気づいていなかった。ヴォニーには密かに交際中の既婚の男性がいたことに……。

そしてヴォニーがその彼と別れたチャンスにボビーはヴォニーと付き合うことになる。日々生活を共にするうちに2人の愛は強くなっていく。そしてボビーは、結婚してニューヨークで暮らそうという話を持ち出す。しかし時を同じくしてヴォニーの元彼が離婚してヴォニーとやり直そうと迫る。

将来の展望が見えないけど情熱的に会いしてくれるボビーと、年はとっているが大富豪で安定している元カレ。ヴォニーはどちらの男を選択するのか。。選ばれたのは元カレだった。

ボビーはニューヨークに戻り、兄の経営するクラブのオーナーになる。そこにはセレブリティたちが夜な夜な交流する”カフェ・ソサイエティ”と呼ばれた世界が広がっていた。ボビーは店の客としてきていたヴェロニカと恋に落ち、子供を授かり幸せな結婚生活を送る。

約5年後、ボビーの店はニューヨークのセレブにも評判の店になっていた。そんなとき、ボビーのお店にヴォニーと旦那が訪れる。再び交流をするようになる2人。多忙な旦那に代わってヴォニーにニューヨークを案内するうちに2人にはかつての優しい感情が蘇ってくるのだった。ボビーはヴォニーとハリウッド時代の思い出の場所を訪れる。あの時お互いを選んでいれば、ということを思っても時間は戻らないし付き合うことはできないと感じ、新年を迎えるのだった。。







時間がテーマ

カフェソサイエティ
今回も随所で笑わせてくれるコメディ作品できらびやかな社交の世界を見せてくれる映画でしたが、今作では笑いとおしゃれだけでなく、人生の深いテーマが描かれていましたね。

ウディ・アレンの作品では時間というのが度々テーマになります。

たとえば2011年公開の『ミッドナイト・イン・パリ』では1900年代初期のパリにタイムスリップしたり、『ローマでアモーレ』では現在の自分からの視点で若い自分を見ていたりします。

また、1991年公開の『世界中がアイ・ラヴ・ユー』ではラストで、ウディ・アレンとゴールディ・ホーンが思い出の場所で昔のデートを語り合うのですが、「一緒に暮らしてたらどうなってたかしら?」「二度と戻らない 過ぎ去った日々」というセリフが、過ぎ去った時間を感じさせました。

このようにウディ・アレン映画では時間は共通するテーマなのですが、『カフェ・ソサイエティ』でも「時間を昔に戻して散歩しましょう」「別の人生を夢見ても、夢は夢でしかない」など、人生の選択や過ぎ去った過去へ言及するセリフが、時間について語っている映画であることを感じさせます。

そして新年を迎えるラストは、時間の残酷さを如実に表したシーンだといえるでしょう。

恋の選択

カフェソサイエティ
また、ウディ・アレン映画では恋愛の選択がよく描かれます。ウディ・アレン自身が多くの女性と関係していることも関係しているのかもしれません。

ヴォニーは大富豪のフィルか主人公のボビーのどちらかを選択することになります。その時にはフィルを選ぶのですが、時間がたって再びボビーと出会った時、彼女は人の悪口や噂話で楽しむ、本人が嫌悪していたセレブになってしまっています。ボビーは悪い意味での変わりように驚きます。それでも2人きりで話していると昔の2人に戻るとどうしてもあの時の選択を考えてしまう2人。

あの時に別れていなければ、というような選択をお互いがするのですが、それは無意味だと話します。こんな想像をしたとしても、過ぎ去った時間は二度と戻らず想像に意味はないと言い聞かせている2人が切ないですねぇ。

『ラ・ラ・ランド』でも同じテーマ「人生の選択」が描かれていて、「もしあの時この人を選んでいたら」歩んでいたであろう人生が描写されていました。

この映画でも同じように新年を迎えた時、ボビーとヴォニーの2人は互いのことを考えていました。そしてその場に彼がいないこと、彼女がいないことに虚しさを感じているという表情をするのです。まさに人生の選択、恋愛の悲しさというようなものが表現されている良いシーンでした。

橋というモチーフ

『世界中がアイ・ラヴ・ユー』のラストで思い出のデート場所で語り合うのと同じく、『カフェ・ソサイエティ』でもセントラルパークでヴォニーと話すのですが、いずれも橋が映っています。ほかにもニューヨークの夜景のシーンでも橋は映ります。

橋というのは恋愛映画では定番のモチーフであり、これまで多くの映画で使われてきました。なんせ『橋』という映画もあるくらいですから。

橋というのはある場所と場所をつなぐものであり、異なる世界に行くためのものです。つまり「橋」は恋愛という未知の恋人とのつながりが暗示されているのです。

印象的なのがニューヨークの夜景シーンで橋が映ることです。これはボビーが過去と決別したことを表しています。フィルとの元鞘に戻るヴォニ-はハリウッドで暮らすので橋を渡りませんが、ニューヨークで新しい生活を送るボビーは橋を渡りました。人生という橋を一緒に渡れなかったというメタファーなのですね。

橋を渡れなかった2人が時を経て、橋の上で語り合うけどもう橋を渡ることはできない。なんとも良い演出です。







主役はウディ・アレンの分身

カフェ・ソサイエティ ウディ・アレン

『ローマでアモーレ』でもウディ・アレン作品に出演していたジェシー・アイゼンバーグが今作では主演です。

彼の演じる主人公のボビーは、これまでウディ・アレンが演じてきたキャラクターそのものであるということがひと目でわかります。腰よりも高い位置にベルトを上げてダボダボのズボンを履き、猫背でちょこまかと動き、早口で話す姿は往年のウディ・アレンそのものです。

これは『ミッドナイト・イン・パリ』でも主役を演じたオーウェン・ウィルソンがウディ・アレンのキャラクターに似ていたのと同じことです。若かりし頃のウディ・アレンが、違う役者により再現されているのですね。

『カフェ・ソサイエティ』の舞台は1930年代のハリウッドです。ウディ・アレンはもちろん当時のハリウッドで活躍していないですが、『ミッドナイト・イン・パリ』で1900年の芸術が最も華開いたパリでウディ・アレンの分身が闊歩したのと同じように、もっともハリウッドが輝いていた1930年にもウディ・アレンを登場させたのですね。タイトルの“カフェ・ソサエティ”とは1930年代のきらびやかな社交界、そしてそこに夜ごと集うセレブのことを指します。セレブやスターたちのなかにウディ・アレンの分身がいる姿はなんとも感慨深いものがありましたね。

このように、ウディ・アレンは自身は80歳を過ぎてスクリーンに登場することはなくなっても、自分を映画内で動きまわらせている。自身が歳を重ねることで残りの人生を意識しているからこそ、時間がテーマになり夢の時代が舞台になったのかもしれません。そこには夢の時間を楽しむウディ・アレンの純粋な姿があるようにも感じます。

ただ過ぎ去った日は戻らないし、過去に暮らすことはできない。せいぜい映画のなかで実現することしかできない、という限界も感じさせる映画でした。まさに「夢は夢でしかない」なのですね。そんな切なさを感じさせてくれる良い映画でした。

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