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『ラ・ラ・ランド』感想。つまらないと思いきやダメ人間の恋が輝く!

2017/06/04

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ララランド
2017年のアカデミー賞で6部門を受賞したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(LA LA LAND)を観てきました。日本でも大ヒットしていてなにかと話題になってますよね。「感動した!」「泣いた!」という感想もよく聞きます。

・・・そんなに絶賛するほどの映画か?

それが私がこの映画を観終わった時の感想です。確かにおもしろい映画だったんですが、けっこうツッコミどころがあるし私はあまり感情移入できませんでした。そこの所を書いてみます。

あらすじ

夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。

ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。







ダメ人間の恋

ララランド
まず映画のタイトル「LA LA LAND」とはどういう意味なのでしょうか。タイトルには映画のメッセージやテーマが込められていることが多いので考えてみます。この語には下記の意味があるようです。

1.カリフォルニア州ロサンゼルス(*)
2.現実離れした世界、おとぎの国
3.現実から遊離した精神状態

一見、「夢の国のように素敵なロサンゼルスを舞台にした物語」「ロサンゼルスというおとぎの国で成功を夢見る人々の物語」というような意味にとれます。実際この映画では、ロサンゼルスでの華やかな成功を夢見る2人が主人公です。ただこの映画では、そのようなロマンティックな意味だけではないと思われるのです。

というのも、主人公の2人はいい年して夢を追う、いわゆる「イタい」人です。しわの目立つ30歳くらいの女はオーディションには受からずウエイトレスをしていて、舞台をやっても客が集まらない、彼氏はいるけどもっと自分に合う男を探している。ジャズマニアの男は古いジャズにこだわって仕事もなくなり、ジャズの店を出すと言っても貯金もしていません。この2人は夢を追っているといっても、いわゆる「ダメ人間」なのですね。そんな世間の常識や流れから取り残された2人が共鳴して恋に落ちます。

つまりおとぎの国で夢見てばかりで現実を見れずに、頭が「LA LA LAND」状態の2人の物語、と私は映画タイトルを捉えました。確かに美男美女で絵になるカップルでしたが、これがぶさいくだったら全然感動できないでしょう。これはライアン・ゴズリングとエマ・ストーンだからこんな風に素敵な話になったんでしょう。

ミュージカルという形式と、おしゃれなセットによってなんとなく綺麗な物語に思えますが、実際はダメ人間2人の恋の話なのです。この点では『カサブランカ』のような魅力ある人間たちの恋というよりは、ダメ人間2人の恋物語『トゥルー・ロマンス』が近いように感じます。

この映画はおしゃれな映画、キラキラした映画みたいに言われてますが、かなりイタイ人間の物語だと感じてあまり感動しませんでした。

時間の不可逆性というテーマ

ララランド
ただダメな人間の恋でも、テーマに関しては深みがありました。

「あの時こうしていれば」「あの人と結婚していれば」「違う人生があったかもしれない」という、”たられば”の人生は誰しも考えることかもしれません。だからこそこれは映画やテレビ、小説ではよく描かれるテーマです。

実際、『ラ・ラ・ランド』のなかの会話に出てくる『カサブランカ』は過去に恋人関係にあった相手と出会ってしまう話であり、オマージュされている『シェルブールの雨傘』もまた、恋人が死んだと思って新しい相手と結婚したがその恋人が生きていたという話です。どちらも人生の選択、時間の残酷さをテーマにした映画です。他にもこのようなテーマの映画は多いですよね。

この映画のなかでも「時間の不可逆性」が描かれており、物語に深みを与えています。”たられば”の人生を実際に可視化することで、選択によってはあり得た人生を画面上に映し出します。2人とも夢を実現するために別れたのですが、夢の実現を選ばなかったら、別れていなかったらどのような人生かというのが描かれるのです。これは『マルホランド・ドライブ』でも使われたような手法ですね。

これまでの話の流れを無視した幸せなシーンが突然出てくるので、観ているほうは「これはなんのシーンだ?」と混乱したかもしれません。でもリアルに表現されることで、その人生を選べなかった2人の姿が切なく、人生や時間の重みを感じることができます。

このように『ラ・ラ・ランド』では、昔から名作で描かれてきた普遍的なテーマを、効果的な方法で描くことで時間の不可逆性を描き物語に深みを与えているのです。







ミュージカルシーンの意味

ララランド
私はミュージカル映画が好きで『ムーラン・ルージュ』『雨に唄えば』『シェルブールの雨傘』『レ・ミゼラブル』『ダンサーインザダーク』など、色んなミュージカル映画を観てきました。大勢が歌ったり踊ったりするミュージカルシーンにはワクワクさせられましたし、歌とダンスを観るのはバレエや歌舞伎などの芸術を観るような感覚がありました!

でもミュージカル映画が苦手という人も多いですよね?そのような人たちが口を揃えて言うのは、突然歌ったり踊るのが不自然で楽しめないということです。このような不自然さは確かにあります。でもミュージカルシーンに意味が与えられていることがあるので、その解釈をすると楽しんで観られると思います。

例えば『ムーラン・ルージュ』では内面や感情の表現であり、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』では主人公の現実逃避の世界がミュージカルシーンでした。つまり劇中の現実ではなく、心象風景などの仮想現実の表現なのです。

では『ラ・ラ・ランド』のミュージカルシーンにはどのような役割があるのでしょうか?劇中では歌うのではなく普通に話すシーンも多いのでセリフを歌にしているわけではなく、心象風景や内面の独白という役割です。例えばセブとミアがパーティで出会って帰り道で踊るシーンは2人の話が踊るほど盛り上がって内面が高揚したこと、オーディションでのミアの独白は話したことを歌にして簡略化して表しています。現実では踊っていなくて仮想現実での出来事であり、心象風景の表現というのがこの映画のミュージカルシーンの役割です。

さらに、なんとも切ないラストのミュージカルシーンは妄想とか想像の世界を表現していて、まさにこの仮想現実だといえるでしょう。ダンスや歌でただの現実世界では表現できないものまでこの映画では表現しているのです。

この映画のミュージカルシーンには「オマージュ」という手法が多いです。この手法は過去の映画と同じようなシーンを挿入することで、ただのシーンにメタ的な意味を持たせる手法ですが、『ラ・ラ・ランド』にはこのオマージュがふんだんに使われています。『雨に唄えば』『ムーラン・ルージュ』『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』などなど、多くの過去のミュージカルシーンに似たシーンが描かれているのです。

これによってミュージカル映画史をたどることにもなりますし、過去の映画のメッセージや意味を踏まえて今回の映画を解釈できます。ここにもまた感動がありました。

『ラ・ラ・ランド』はダメ人間の恋を描いていますが、普遍的なテーマとミュージカルという形式により豊かな映画になっているといえます。ぜひ観てみてください!

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